自律神経失調症とはどのような病気なのでしょうか?そして、原因はどこにあるのでしょうか?
もしかしたら自分や身近な人がが自律神経失調症かもしれない、そして病院で疑いがあるといわれた方向けに分かりやすく解説します。
自律神経失調症ってどんな病気?
まず、自律神経というのはどういうものなのでしょうか。よく聞く名前でも、日常生活で意識することはあまりありませんよね。自律神経というのは、全身に分布する神経系で生きていくのに不可欠な生命維持活動をコントロールしている神経です。
つまり、息をしたり、眠ったり、食べたものを消化したり、血液が循環したり、体温を調節したり・・一日中自律神経は私たちの体をコントロールしているわけです。人の神経には「交感神経」と「副交感神経」があるのですが、
- 交感神経は主に活動的な状態のときに活性化する
- 副交感神経はリラックスした状態の時に活性化する
このような性質があります。つまり、交感神経は野生の動物に例えると敵と戦ったり、逃げたりするような場面で活性化し、副交感神経は眠るときなどに活性化するということになります。
でも、自律神経失調症の場合、この二つの神経のバランスが崩れてしまいます。つまり、リラックスするべき時に神経が興奮していて寝付けなかったり、反対に日中仕事をしたいのに無気力になってしまったりと生活に支障がててくるわけです。
人間の場合には、日中活動して夜眠るというリズムに従ってこの二つの神経の優位性が入れ替わるのが普通です。でも、それがうまくいかなくなってしまうのがこの病気の特徴です。
症状としては、主に「何となく調子が悪い状態が続く」という人が多いようです。
- 頭が痛い・重い
- めまいがする
- 血圧が高くなりすぎる・または低くなりすぎるなど不安定
- 冷や汗・発汗しすぎる
- 耳鳴り
- 吐き気・おなかが痛くなる・便秘する
このように身体的な症状が出てくる場合もありますが、精神的な症状が出てくる場合もよく見られます。
- イライラしがちになる
- 気分が落ち込む・やる気が出ない
- 考え方が被害妄想的になる
- 周りの人が信じられなくなる
- 眠れない
このように精神的な症状が出て、「精神疾患かも?」と思ってしまうこともあります。なんとなく心身ともに調子が悪く内科の病院に行ってみると具体的な病気が見当たらずに「自律神経の不調かもしれない」とお医者さんに言われたという人も多いですね。
どんなことが原因で起こる?
自律神経失調症は、独立した病気ではないという考え方もあります。ここでは、一般的に「自律神経失調症」とか「自律神経の不調」といわれている病気の原因について考えてみます。
この限りではありませんが、一般的に言われている原因とは次のようなものです。
- 遺伝的に自律神経の調子が乱れやすい
- 更年期などでホルモンバランスが崩れやすくなっている
- 処方薬・ドラッグ・アルコールなどの過剰摂取
- 日常生活・職場・学校など環境や対人関係のストレス
- 精神疾患・心身症の治療薬の副作用
心当たりがなくても、自分で自覚していないストレスなどが引き金になっていることもあり、自己判断は難しいものです。さらに、他の病気が原因で自律神経失調症のような症状が出ている場合もあるので注意が必要になります。
似たような症状が出る病気はある?
うつ病・適応障害・不安障害・パニック障害などの精神疾患でも同じような症状が出てくる場合がよくあります。
精神疾患というと心だけに症状が出てくるものと思いがちですが、実は体にも症状が出ることが非常によくあります。むしろ、身体的な不調で病院に行き、その背景に精神的な問題があったということもよくることなのです。
参考:自律神経失調症の原因はストレス?ゲームのやりすぎも良くない?
また、自律神経失調症は全身にさまざまな症状がでてきます。
自律神経失調症だと思ったら、実は神経の病気だったとか消化器の病気だったという可能性も否定できません。なんとなく調子が悪いから、「自律神経かな?」と自己判断して放置してしまうことは、身体的な病気の早期発見の観点からも危険なことです。
自律神経失調症かもしれないと思ったら?
まずは、肉体的な不調をしっかりと改善するために内科などを受診してみてください。内科を受診すれば、肉体的な不調の原因を検査などで明らかにする方針で治療することになります。
それで、具体的な原因・疾患などが分からない場合に「自律神経失調症」などを疑うことになります。
その場合には心療内科・神経科を受診することをおすすめします。自律神経失調症かもしれないと思ったら、まずは病院を受診しましょう。なるべく話をじっくり聞いてくれると評判のいい病院が安心です。
そのほかの病気が隠れていないか見逃さないためにもきちんと早めの受診が肝心なのです。