統合失調症の症状はさまざまですが、そのうちの1つに幻聴があります。しかもただの幻聴ではなく“ある特徴”が存在するんです。特徴と頻度について知っていきましょう。
みなさんは統合失調症にどんなイメージを持っていますか?幻聴はよく知られている統合失調症の症状です。
「だけど具体的にどんな幻聴が聞こえるのか知らない…」
そういう人はたくさんいらっしゃると思います。統合失調症の幻聴には先ほども書いた通り、特徴があります。
統合失調症の幻聴ってどんなもの?その特徴とは?
統合失調症の幻聴は、健常者の幻聴とはかなり違ってくるんですね。そのため「統合失調症の幻聴には特徴がある」と言われています。
統合失調症の幻聴は患者さん本人を“悪く言ってくる”のです。患者さん本人は幻聴を現実のものだと思っているため、深く傷ついてしまいます。
私たちにも普段、幻聴を耳にすることがありますよね。ですがそれは「なんだか呼ばれた気がした」とか「携帯電話が鳴った気がした」とか曖昧なものです。そして携帯電話の着信履歴を見てなにもないと「気のせいだったな」で終わりますよね。
統合失調症の患者さんにはそれがありません。患者さんにとって幻聴が現実のものとなってしまっているので「気のせいだった」と考えられないんです。
簡単にまとめてみると…。
- 統合失調症の幻聴は患者さん本人を罵ったり批判したり悪く言ってくる
- 幻聴を現実のものと思ってしまっているので“気のせい”で片づけられない
統合失調症の幻聴にはこのような特徴があることがわかります。
統合失調症による幻聴の特徴!1日数回起きることも?
統合失調症による幻聴の特徴には頻度の高さもあります。1日のうちに何回も幻聴が起こるんですね。健常者でも幻聴を起こすことは多々ありますが、1日に何回も起こることはそうそうありません。
ただし、統合失調症の患者さんなら誰でも1日にたくさんの幻聴を聞いているというわけでもないんです。症状の重さ、陽性か陰性か、回復期かそうでないか、などによって頻度は少しずつ変わってきます。
重度の統合失調症では1日中幻聴を聞いていると言っても過言ではないでしょう。とある統合失調症の患者さんの1日を見てみると、かなり高い頻度で幻聴を聞いています。その患者さんは家の中で生活していても外へ出ても幻聴が聞こえてくるんです。
もちろん統合失調症が回復してくれば幻聴の頻度も少しずつ減っていって、1日に何回も聞いてしまうことはなくなってきますよ。そのためにも統合失調症の治療をしなければいけないんです。
参考:統合失調症で入院を強制的にさせる事はできる?その方法とは?
統合失調症は薬を飲むことで治せる病気です。稀に「薬を飲んでも幻聴だけ治らない」という患者さんがいらっしゃいますが、幻聴だと自覚していれば自力で乗り越えることもできます。
統合失調症の患者さんに起きる幻聴はとてもつらいもの。周りの人は特徴を理解して接してあげて下さいね。
統合失調症の幻聴をもっと詳しく知りたい!
統合失調症の幻聴、特徴はわかったけど具体的な内容がわからない…。それでは幻聴の内容をもっと詳しく見ていきましょう。
統合失調症の幻聴は1つだけではなく、いくつか種類があるんですね。また、統合失調症の幻聴は“陽性”の患者さんによく見受けられると言われています。陰性の患者さんは比較的幻聴が少ないということです。
まずは「対話性幻聴」。これは自分以外の人間が複数で会話をしている、という幻聴です。ほとんどの場合、幻聴の内容は患者さん本人を侮辱している内容なんですね。例えば「あいつ(患者さんのこと)はクズだ」「生きている価値がない」といった内容になります。
そして「命令性幻聴」と「注釈性幻聴」。命令性幻聴は文字通り、統合失調症の患者さんに幻聴が“命令”をします。「電車が来たから飛び込め」「あの人間をナイフで刺せ」というような恐ろしい命令です。
注釈性幻聴は今の行動を“注釈する”特徴がありますね。「今から家を出るんだな」「お風呂に入っているんだな」という幻聴が聞こえてくるために、統合失調症の患者さんは「監視されている」と思ってしまうんです。
自分の声が幻聴となって聞こえたり、人間の声ではなく物音がハッキリ聞こえるタイプの幻聴もあります。後者の“物音が聞こえるタイプ”は「要素性幻聴」と呼ばれているんですね。ドアが閉まる音とか窓が閉まる音がこれに該当します。
まとめ
統合失調症の幻聴の特徴がどんなものか、わかっていただけたでしょうか?想像しただけでも患者さんがつらい状況に置かれていることがわかりますよね。
これが1日に何回も…と考えると、ぞっとしてしまうでしょう。幻聴と言われるとあまりつらい感じがしませんが、こうして詳しく見てみると幻聴の怖さを実感できると思います。