統合失調症の症状の1つ、幻聴。その内容や種類を知っていますか?「幻聴が起こる」ことしか知らない人もいると思います。実は幻聴の内容ってとても恐ろしいんですよ。
統合失調症の幻聴に特徴があるという話はとても有名です。非常に被害的であるのが統合失調症の幻聴の特徴ですよね。
被害的なのは全体を通して同じですが、細かな内容は幻聴の種類によって変わってきます。それでは統合失調症の幻聴はどんな内容なのか、実際に経験した人の話を参考にさまざまな種類のものをまとめてみました。
統合失調症の幻聴はどんな内容?
もっともよく見られたらのは「脅してくる幻聴」です。「あいつを殺さなければお前が殺される」だとか「お前の部屋には爆弾が仕掛けられている」など。
ストーリー仕立てになっている幻聴に悩まされていた患者さんもいらっしゃいます。「お前は皇族だ」「だけど見捨てられそうになっている」。「誰かがお前を殺そうとしている」「しかしきちんと手配して警戒しているから大丈夫だ」。
さらに「命令してくる幻聴が聞こえていた」という統合失調症の患者さんもたくさんいらっしゃいました。「電車が来たら飛び込め」「あいつをナイフで刺せ」というような、自分や他の人を傷つけようとする内容が多く見受けられましたね。
中には「お前には罪がある」と、ありもしない罪を押し付けてくる幻聴も。統合失調症の幻聴はとにかく“鮮明な声”を聞いてしまうんですね。健常者がよく聞く「電話が鳴った気がした」「チャイムが鳴った気がした」とは違います。
他にも「その食べ物には毒が入っているから食べるな」「大事な人がお前を裏切った」と言ってきたりなど、内容を挙げはじめたらキリがないと言えるでしょう。ですが、これだけの内容を見るとだいたいどんな幻聴が聞こえてくるかわかったのではないでしょうか。
統合失調症の幻聴の内容は種類によって変わる?
統合失調症の幻聴の内容にはいろいろありますが、実は種類で分けられるんです。
「対話性幻聴」は自分以外の複数人が自分のことについて話している、という幻聴。「ネットで噂されている」「テレビで話題に取り上げられている」と訴える統合失調症の患者さんがいる話を聞いたことはありませんか?これは対話性幻聴によるものだと考えられますね。場所はどこであれ、誰かと誰かが自分のことを話していると思ってしまっているんです。
「注釈性幻聴」は自分の行動や感情を逐一報告してくる幻聴です。怒っているんだな、泣いているんだな。これから出かけるんだな、食事をするんだな、というふうに聞こえてくるんですね。そうすると統合失調症の患者さんは「自分の考えが外に漏れている」「誰かにずっと監視されている」と考えるようになっていきます。
「命令性幻聴」は文字通り、命令してくる怖い幻聴です。先ほどご紹介した幻聴の内容に「電車が来たら飛び込め」「あいつをナイフで刺せ」というものがありましたね。これらが命令性幻聴に該当します。
「考想化声」は自分の考えていることが声となり幻聴として聞こえてくるもの。この幻聴が起きても「自分の考えが外に漏れている」と思うようになってしまいます。
幻聴の主(声の主)が統合失調症の患者さんの知り合いであると言ってくるケースも。このように幻聴は不愉快な内容ばかりで、しかも種類が多いんです。
陽性か陰性かによって幻聴は違う?
統合失調症には「陽性」と「陰性」がありますね。実は、統合失調症の幻聴は陽性の患者さんに多いと言われているんですよ。
陽性ですと他にもさまざまな種類の症状が確認されています。幻聴以外では“幻覚(幻視)”、それから“妄想”ですね。
妄想と言っても「ああだったらいいな」「こうだったらいいな」ではなく、実際にあり得ないことを現実のものだと思い込んでしまうことを指します。幻聴や幻覚や妄想の内容は人によって違ってきますが、やはり患者さんにとって嫌だったり不愉快だったりすることがほとんどです。
ちなみに統合失調症の陰性症状は、うつ病によく似ていると言われています。自閉的になり、人とのコミュニケーションをとらなくなっていくんです。やる気や意欲もなくなって感情も平板化していくので喜怒哀楽がなくなってしまいます。
同じ統合失調症でも陽性と陰性ではこんなにも症状が違うんですね。幻聴が聞こえてくる場合は陽性である可能性が高いでしょう。
まとめ
統合失調症の幻聴の内容、詳しく知れば知るほど怖くなってきますよね。しかもたくさんの種類があって、自分がもし同じ立場になったらと考えるとぞっとするのではないでしょうか。
幻聴の内容や種類について知っておけば、統合失調症の人への接し方も変わってくるでしょう。
統合失調症は100人に1人がかかると言われています。決して珍しい病気ではないですから、しっかり理解するために知っておくのは大事かもしれません。