自律神経失調症と喉の痛みや違和感。これらは一見まったく関係がないように感じるかもしれません。
しかし、場合によっては自律神経失調症が引き金となって痛みや違和感が出てきている場合もあるのです。
そんな少し分かりにくい、自律神経失調症と喉のトラブルについて分かりやすく解説していきます。
自律神経失調症で喉に痛みや違和感が出る?
自律神経失調症の状態では、体の様々な部分にいろいろな症状が出るということがよく知られています。
意外と多い症状に喉の痛みや違和感があります。
風邪をひいたわけでもないし、アレルギーなどの心当たりもないのに、
- 常に喉に何か詰まっている感じがする
- 魚の骨が引っかかっている感じがする
- 喉の痛みがある
- 食べ物や飲み物を飲み込みづらい
などの不調が出てくる場合があります。そして、たいていの場合には「喉になにか問題があるのかな?」と思われることでしょう。そして、耳鼻咽喉科に行く方が多いのです。その結果、「喉に問題はない」と病院で言われて困ってしまうのですね。
ただ、少し気を付けていただきたいポイントもあります。このように自律神経失調症で喉の痛みや違和感が起きるという知識を持ってしまったばかりに、最初から耳鼻咽喉科を受診しない、ということです。
確かに自律神経失調症で喉の痛みや違和感が起きることは少ないケースではありません。しかし、すぐに自己判断で自律神経失調症が原因にあると決めてしまうのは危険です。本当に喉の異常があって、これらの不調が起きていることもあるからです。
ですから、「たぶん自律神経がおかしいからかな」と思ったとしても一度は耳鼻咽喉科でみてもらうのがおすすめですよ。
しかし、一見関係なく見える喉の痛み・違和感と自律神経失調症。どうしてそのような症状があらわれるのでしょうか。
喉に痛みや違和感が出る原因とは?
自律神経の働きが乱れることで、なぜ喉の痛みや違和感などの不調が起きてくるのでしょうか。
まず、自律神経失調症には様々なタイプがありますがこれらの喉の症状が現れる場合には「交感神経の働きすぎ」が主な原因として考えられています。
交感神経というのは人間が活動する時に働く神経です。反対に副交感神経というのは人間がリラックスして休むときに働く神経です。どちらもしっかりと適切なタイミングに適切な強さで働くことで人間は健康を保っています。
しかし、ストレスを感じ続けたりすると交感神経が常に働き、程度も強くなってしまいます。そうすると筋肉が緊張したり、臓器がうまく働かないなどの問題が起きてくるわです。
このような原因で起こる喉の痛みや不調を一般的にヒステリー球と呼んでいます。
これらは、交感神経の働きすぎで喉の筋肉が硬直して喉を狭くしてしまうことが原因で起こります。たとえば腕に力を入れると力こぶになり、力を入れた部分が太くなりますよね。それと同じで喉の筋肉も緊張することで大きくなり、喉の空間が狭くなり、異物感につながっています。
また、喉の痛みですがドライマウスとの関連も指摘されています。風邪で口呼吸になってしまったときなどに喉が痛くなった経験はありませんか?同じように喉が乾燥することで痛みが起きている場合があります。
交感神経が働きすぎているときには、唾液の分泌が減りますので、このような症状が起こるのです。大勢の前で話をするなどで緊張した時に喉がカラカラになったことはありませんか?このように一時的なストレスでも唾液の分泌が減るのですね。
自律神経失調症では、こういった交感神経の働きすぎがずっと続いている場合もあります。さらに自律神経失調症の原因として継続的なストレスがあるということも少なくないので、長期間こういったドライマウスやそれが原因の喉の痛みや不調を感じているという患者さんも多いのです。
ドライマウスは、口臭の原因になったり、肺炎などの原因にもなり兼ねないので、たかがドライマウスと侮らずに改善していきたい状態です。
では、これらの不調を感じるようになったら自分ではどのように対処したらよいのでしょうか。
不調を感じたらどうしたらいい?
まずは、なるべく交感神経の働きすぎが起こらないように生活を整えます。
お休みが取れそうならなるべく連休を取ってゆっくり休んでください。軽度の場合、数日ゆっくりと好きなように過ごすだけで良くなってしまうということもあります。
そして、交感神経が働きすぎないように以下の点に注意してみてくださいね。
- 昼夜逆転しない生活を心がける
- 夜強い光を浴びない(スマホ・PC・テレビ・深夜のコンビニなど)
- 疲れていると感じたら積極的に深呼吸を
自律神経失調症が原因で喉の痛みや違和感が起こっている場合、これらの簡単な生活の改善だけで不調が治ってしまうこともあります。まずは生活の改善から取り組んでいきましょう。
しかし、ストレスが根深かったり、他の病気が潜んでいる場合にはこれだけでは良くなりません。
2週間くらい生活を改めてみて、あまり変わらない場合には一度耳鼻咽喉科を訪れましょう。耳鼻咽喉科ではヒステリー球の相談も受け付けていますので、喉の調子について相談しつつ、ストレスについても話してみるのがおすすめです。
必要があれば、心療内科などを勧められる場合もあるでしょう。
まとめ
自律神経失調症でも、喉の痛みや違和感といった症状が現れる場合があります。
一見関係なさそうに感じる不調ですが、これは交感神経が過剰に働いていることと関係しています。交感神経が働きすぎることで、喉の筋肉が緊張してしまったり、ドライマウスが起こったりしてこのような喉の不調が現れるのです。
これらの改善には、ストレスの解消・休息・生活の改善が有効です。
しかし、それだけで良くならない場合には耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。耳鼻咽喉科でもヒステリー球の治療を行っている場合も多いですし、必要があれば心療内科などを紹介してもらえる場合がありますので、まずは喉の異常がないか調べておくと安心ですよ。