パニック障害の薬が合わずにやめたい、けれど自己判断でやめたら危険なの?
薬が体に合わなかったり、副作用が辛いという場合に「どうにか薬をやめられないか?」ということを考える人も少なくないでしょう。
しかし、自己判断でやめることにはリスクが伴うのです。時々耳にする「離脱症状」など薬に関係する治療の注意点をわかりやすくまとめました。
パニック障害の薬はどんなもの?
パニック障害の薬は、主に抗不安薬と抗うつ薬を使用します。それに合わせて特定の場所などを恐れてしまう考え方のゆがみを治していく、認知療法・実際に苦手なことを少しずつやってみることで克服する行動療法などで治療していきます。
初期の段階では、薬の効果に頼るところが大きいという面もあります。自分が一番つらいときに、「いきなり考え方を治そう!行動してみよう!」と言われても恐怖は余計に強まってしまうかもしれませんし、やってみる気力がわかないと思いませんか?
そこで、最初は症状を落ち着けて薬を飲んでいれば大丈夫というところまで持っていくのがポイントになるわけです。
薬の中でも、最初は即効性の高い抗不安薬を使います。それに併用して血液中の濃度が上がっていくことで効果を発揮するSSRIという抗うつ薬を使うのが最近の治療のスタンダードです。
なぜ併用するのかというとSSRIは従来の抗うつ剤に比べて副作用が穏やかで使いやすいのですが、効果が表れるのに時間がかかるのです。期間にして2週間以上かかりますので、その間を抗不安薬が埋めるという形ですね。
参考:パニック障害の薬とお酒の飲み合わせはアウト?運転中に症状が出た時は?
SSRIがあまり効かない場合に、三環系抗うつ剤などの違ったタイプの抗うつ剤を使う場合があります。
どのお薬も調子が良くなったからといって自分でやめてしまうのはよくありません。副作用があるために、不安を感じて「薬をやめたい」と感じることもあるかもしれません。しかし、どんな薬にも副作用はあります。
風邪薬を飲んで眠くなったりすることも、副作用のひとつです。心療内科・精神科でもらう薬だからということで特別視しないで、「薬には副作用がある」ということは改めて自覚しておく必要があるでしょう。
これが薬物療法を併用しながら、焦らずに治療していくコツでもあります。
離脱症状って何?
では、どうして調子がよいのに薬をやめてはいけないのでしょうか?
SSRIなどのお薬はをやめるときには、段階的に減らしていくことが体に負担が少ない方法だからです。
突然の急激な断薬をしてしまうと、いわゆる離脱症状という体の不調が現れることがあります。段階的に時間をかけて薬の量を減らしていくことがとても重要なのです。
SSRIを飲み始めてすぐに調子が悪いと感じたりなどの理由で、「薬をやめたい」と強く思った場合には、次の診察日の前に予約を入れることをおすすめします。この状態では、このまま飲み続けていいものかとても不安になってしまいますよね。
ぜひクリニックに連絡して「薬が合わないので、なるべく早く相談したい」と伝えて予約を入れさせてもらいましょう。空き状況によってはその日や翌日などに診察を受け、相談できる場合もありますので、困ったらすぐに連絡するようにしたいですね。
参考:【パニック障害】美容院のシャンプー時はどうすれば落ち着ける?
ちなみに離脱症状は現在ではSSRI中断症候群とも呼ばれています。「離脱症状」という表現を使うことで、本来SSRIが必要な患者さんが怖がって必要な薬物療法を受けない、病院を敬遠するということが出てくるからですね。
実際の症状としては、
- めまい
- 大量の汗が出る
- ふるえ
- 吐き気
- 不眠
- 悪夢
などが知られています。程度や症状の種類も人によってかなり違ってくるのが、この離脱症状の特徴です。
薬をやめたいときはどうする?
まず、絶対にやってはいけないことをご紹介します。
- 自己判断で薬を飲むのをやめる
- 自己判断で薬の量を減らす
断薬・減薬は、様子を見ながら段階的に医師の指示のもと行わないと離脱症状(SSRI中断症候群)のリスクが高まってしまいます。
では、やめたいと感じたらどうしたらよいのでしょうか?
一番大事なことは、まず「医師に相談する」ことです。副作用で辛い症状があるなどですぐに診療を受けたい場合などは、かかりつけのクリニックに連絡して予約を前倒しにしてもらってもよいでしょう。
また、薬があたかも害であるかのような情報がたくさんありますが、症状を抑えて社会生活をしやすくしたり、楽しい毎日を取り戻すために薬はとても役に立つ面もあります。副作用もある、ということをしっかりと自覚しておくことも大切です。
まとめ
パニック障害の薬では、抗不安薬やSSRIという抗うつ剤をよく使います。
特にSSRIは自己判断でやめてしまうと離脱症状(SSRI中断症候群)が起きる心配があります。具体的には、めまいや吐き気、不眠など人によって様々な症状が現れる場合があるのです。
段階的に医師の指示でお薬を減らして、最終的にはやめるという分にはそこまで心配なものではありません。
ですから、離脱症状という言葉でSSRIをはじめとしたお薬を怖がって病院での治療を敬遠しないようにしたいものですね。