パニック障害の症状の治し方って?自分で日常からできそうなパニック障害との付き合い方についてご紹介します。
パニック障害では、「次にいつ発作が起こるのかな?」と怖くなってしまうこともあり、精神的にもとても辛い状態が続く場合もあります。
無理せず症状をコントロールして生活を楽しむコツを身に付けましょう。
パニック障害の症状とは?
パニック障害になると「死ぬかと思うような恐怖」を感じるといいますが、その症状はどのようなものなのでしょうか?パニック障害の症状として知られている症状についてご説明します。
パニック障害では、大きく分けて次のような症状があります。
- パニック発作
- 予期不安(よきふあん)
- 広場恐怖(ひろばきょうふ)
まず、パニック発作ですが、これは繰り返し起こる症状で、不安を感じ・過呼吸になったり、胸が苦しくなったり、それによって「死んでしまうのではないか」という恐怖に陥ったりします。
パニック発作は、一般的にすぐに抜け出せないような閉鎖空間などで起こることが多いということが知られています。また、一度パニック発作を起こした場所でまた起こしてしまいやすいという傾向もあるのです。
それには、予期不安が関係しています。予期不安というのは、「また発作になってしまったらどうしよう」というパニック発作に関する不安感のようなものです。
パニック発作は、人によって程度は異なりますがどの人も基本的には発作によって「死ぬほどの恐怖」を味わっています。突然苦しくなったり、呼吸ができなくなるわけですから、その恐怖は経験したことのない人でも想像することができるでしょう。
参考:パニック障害の薬をやめたい!でもどんな離脱症状が出るの?
そして、この予期不安が実はとても厄介なものです。当然発作を経験した人は「また発作が起こること」を恐れます。その結果として、常に不安や恐怖を感じるようになり、神経質な状態になって、それがさらなる発作を引き起こしてしまうのです。
そして、繰り返し発作を起こし、それに対して常に予期不安がある状態になってしまいます。その状態が続くと、
- 人が多いところに行くことが怖くなる
- すぐに抜け出せない状況を恐れる
- 前に発作を起こした場所を避ける
といったような広場恐怖の状態になるのです。広場恐怖になってしまうと、当然のことながら生活にもかなりの支障が出てきます。
例えば、電車に乗るのが怖いから外出を控えるようになる、車の運転が怖くてできないから仕事を辞めてしまう、などの影響です。
このようにパニック発作・予期不安・広場恐怖が悪循環となってしまうのがパニック障害の特徴で、症状が進むと生活が制限されるようになってしまうことが知られています。そのためうつ病も併発するケースも多く、注意が必要です。
治し方はどうする?
でも、安心してください。パニック障害は治らない病気というわけではありません。場合によっては長く付き合うことになり、付き合い方を考えなくてはなりませんが、適切な治療によって普通に生活できるようになります。
治療は、
- 薬物療法
- 認知行動療法
- 曝露療法(ばくろりょうほう)
この三本の柱で進められます。心療内科にかかっても、精神科にかかっても基本としてはこのような方法がパニック障害の一般的な治し方です。
まず、薬物療法で足りない脳内物質がきちんと働けるようにし、パニック発作を抑えることから始めます。薬物療法に否定的な考え方もありますが、治し方の基本として「まず発作を起こさない」ということはとても大切なことです。
不安にブレーキをかける脳内物質であるセロトニンが脳内で足りなくならないようにするSSRI(抗うつ薬の一種)と抗不安薬を併用することでパニック発作が起きにくい状態を作っていきます。
どうして二つのタイプの薬を使うのかというと、SSRIが効き始めるのには飲み始めて2週間などの期間がかかるからです。その間に発作が起きにくくなるように抗不安薬などを併用していくのですね。
そして、症状が落ち着いてから認知行動療法などの心理療法に入ります。
これは、具体的には「自分がいま恐れているものは本当は怖くないんだ」というようにものごとの考え方の歪みを治していくものです。もっと詳しく言うと、パニック発作がどのようなものなのか知り、そんなときにどうやって考えたらいいのか考えていきます。
このように認知(ものごとをとらえること)をしっかりと修正していった後に「曝露療法(ばくろりょうほう)」があります。これは、ごく簡単にいうと「苦手の克服」です。
参考:パニック障害の薬とお酒の飲み合わせはアウト?運転中に症状が出た時は?
今まで広場恐怖などで苦手に感じて避けていた、物事を少しずつからやってみようという療法になります。この治療法は、段階を踏んで行われるのがポイントです。電車が苦手なら、「空いている時間にまずは短い区間の駅で1駅から」などゆっくりのペースで行っていくのです。
薬物療法とこれらの心理療法を組み合わせてパニック障害は、発作を抑えながら考え方を修正して、苦手を克服していくというスタンスで治療が進められていきます。
この病気との付き合い方って?
まず、パニック障害との付き合い方で大切なのは医療機関や薬物療法に過度の抵抗を持たないことが大切です。
お薬の副作用について調べていると不安になってしまうこともありますが、多くの場合副作用よりもお薬を飲んで発作を抑えることの方がメリットが大きいと考えられます。もしお薬が怖いと感じたら、そのことも含めて医師に相談しましょう。
パニック障害との付き合い方を考えるとき、かかりつけの病院との付き合い方も大切になってきます。
心理療法では特に正直に話せるということがポイントですし、曝露療法にしても医療者を信頼できている関係であることが大切なポイントです。この病気を治療していくうえで大切なことは、信頼できる病院を見つけて、焦らずに治療していくことでしょう。
焦ってまだ回復しきっていないときに苦手を克服しようと頑張るのは逆効果です。焦る気持ちが起きるのも自然なことですが、医師と相談しながらゆとりをもったプランで治療をしていきたいものです。
まとめ
パニック障害の症状は、
- 胸が苦しくなるなどのパニック発作
- 発作を恐れる予期不安
- 人混み・閉鎖空間などを恐れる広場恐怖
が主な症状です。
治し方としては、薬物療法と心理療法を併用していきます。焦らずにじっくりと困ったことは医師と相談しながら治療を進めていくのがポイントです。
パニック障害との付き合い方のヒントになったでしょうか?自分に優しく、頑張りすぎないで治療を一歩ずつ前に進めていきたいですね。