ある日突然起こったように感じがちなパニック障害の症状。きっかけや原因はあるのでしょうか?
パニック障害のメカニズムについても知って、どのようにこの病気が起こるのかについてもご説明していきましょう。
そして、実際のパニック障害を経験した方のお話をもとに、多いきっかけ・原因・予防法について考えます。
パニック障害になるきっかけは?
パニック障害になるきっかけは主に次のように考えられています。
まず、パニック障害というのはさまざまな原因が重なって、ある日突然ふとしたきっかけで起こるものです。原因については、後ほど病気が発生するメカニズムと合わせてご紹介いたします。
パニック障害を引き起こすきっかけとしてよく知られているのが強いストレスです。パニック障害を引き起こすキーワードに「不安」と「緊張」があります。強いストレスを感じていたりすると、漠然と不安になったり、緊張が続いたりとどうしても精神的に不安定になるものです。
強いストレスの例としては、
- 大切な人との別れ
- 重い病気
- 地震や水害などの災害
- 離婚
- DV
などが挙げられます。どれも、平静を保っていられるような状況ではないですよね。人によってはここまで大きなきっかけがなくてもパニック障害を発症してしまう場合もあり、かなり個人差の大きい病気といえます。
参考:パニック障害の症状の治し方とは?上手な付き合い方も解説!
また、男女の別ですが、男性でも女性でもパニック障害になる可能性はありますが、男性よりも女性の方が患者の数としては多く男性の2倍程度です。
イメージとしては、発症するまでにその人が持っている「パニック障害を引き起こしやすい要因」が上にあげたようなきっかけで表に症状として現れるという表現が分かりやすいかもしれません。
原因って本当のところは何?
突然、息が苦しくなったり、胸の不快感などを感じ、今まで健康だった人でも「死んでしまうのではないか」と感じてしまうほどの恐怖を味わうのがパニック障害です。その根本的な原因は、どのようなものなのでしょうか?
パニック障害が起こる原因は、一言でいうなら「脳のトラブル」です。
私たちの脳は、危険を感じて身構えることや反対にそういった働きを抑えてリラックスさせるような働きを両方持っています。危険を感じているときに活発になるのが偏桃体や海馬ですが、これらの脳の部位がパニック障害の場合には働きすぎてしまうのです。
不安を感じさせる脳内物質にノルアドレナリンがありますが、これは正常な場合にはセロトニンという脳内物質によって働きを抑えられるようになっていますが、パニック障害の症状が起きてしまう場合には、このセロトニンが足りなかったり、セロトニンが作られても上手く受容体で受け取れない状態になっているということが考えられます。
参考:【パニック障害】美容院のシャンプー時はどうすれば落ち着ける?
まとめると、パニック障害は心の問題だけが原因となって起こる病気ではありません。パニック障害になりやすい要因に、
- 不安を感じやすい性格
- 幼少時の恐怖・不安を感じる体験(虐待など)
- 遺伝
などがありますが、それらがあるからといって必ずしもなるわけではなく、なりやすくなるということです。そして、先ほど説明したようなストレスなどのきっかけが起きると、脳の不安を感じる回路が活発になり発作が起き、パニック障害が起きるということですね。
あまりパニック障害に詳しくない方では、「気持ちの持ちよう」や「気持ちをしっかり持てば」というようなことを言われる場合がありますが、本当は脳の機能のトラブルなので、もしそのような言葉をかけられても気にしないようにしましょう。
予防法はある?
パニック障害は、今のところ原因としては脳のトラブルが挙げられていますが、どうしてそうなってしまうのか?というところまでは、はっきりしていないというのが現状です。
ですから、予防法として「こうしたらパニック障害にならない」というものもありません。
しかし、はじめてのパニック発作を引き起こすきっかけとなりやすいのが「強いストレス」という場合がとても多いのです。すべてストレスで引き起こされるということではないにしても、ストレスに対処する価値は十分にありそうです。
一方で同じようなストレス要因があったとしても、人によって感じ方の程度が違うように発症するかどうかはその人自身が持っている「発症しやすい体質かどうか」という要因にもよります。
しかし、過労時や精神的に強いストレスを受けた場合などにはじめての発作を起こしやすいことから、
- 疲れを感じたら積極的に体を休める
- ストレスを自覚する
- ストレスを自覚したら、解消するように努める
以上のようなことが自分の心と体を大切にするうえで必要ともいえるでしょう。
まとめ
パニック障害については、まだまだ分かっていないことがとても多いのですが、はじめての発作が起きるきっかけには、
- 強いストレスを感じる出来事
- 体の疲れ
などがあります。
パニック発作が起こる原因は、脳にあり、脳の危険を感じたときに活発になる部分が過剰に働いていること、またそれを抑える物質であるセロトニンの不足だと考えられています。
今のところ、根本的な原因がはっきりしていないので予防法といってもなかなか難しいのですが、きっかけとなりそうな要因を減らすということで
- 身体的な疲れを解消する
- ストレスに対処する
などが予防法として挙げられます。
パニック障害は、いつ・誰がなってもおかしくない病気です。パニック障害になったことのない方もしっかりと知識を持っておくことが大切です。