似ていると言われている統合失調症とアスペルガー症候群。症状や原因、そして特徴の違いはあまり知られていません。
同じような印象の病気のため併発の心配もありますね。
イメージばかりが先走りしてしまう、この2つの病気。精神病に対して理解を深めていくためにも詳しく知っておきましょう。
統合失調症とアスペルガー症候群の違いはなに?
統合失調症は「脳の病気」。アスペルガー症候群は「発達障害」です。症状は確かに似ていますが、原因はまったく違うんですよ。
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統合失調症はストレスからくるもの。体の中でどんな異常が起きているのか未だ不確かな部分が多いのですが、有力な説が唱えられています。脳でドーパミンが過剰に分泌されてしまっているために幻覚や幻聴などの症状を起こす、という説です。
また、統合失調症は「後天性」でもあります。ある程度成長してから発症する病気、ということですね。
アスペルガー症候群も脳に異常が発生しているのですが、こちらは発達障害に分類されます。統合失調症とは違い「先天性」の病気なんですね。
確かに両方とも似ている部分は多いかもしれません。そのため混乱してしまいがちですが「後天性」「先天性」で考えるとわかりやすくなるのではないでしょうか?
さて、このようにとてもよく似た病気となると“併発”が気になるでしょう。
統合失調症でアスペルガー症候群を併発する可能性はある?
統合失調症とアスペルガー症候群は後天性と先天性という違いがあります。それでも症状は似ていますし、脳になにかしらの問題を抱えているという点は同じですよね。そうすると不安になってくるのが統合失調症とアスペルガー症候群の併発です。
統合失調症とアスペルガー症候群が同時に発症する可能性はあります。ここで覚えておいていただきたいのが“先に発症するのはどちらか”ですね。
先ほどもお話した通り、統合失調症は後天性ですがアスペルガー症候群は先天性です。そのため統合失調症の人がアスペルガー症候群になることはなく、その逆になります。アスペルガー症候群の人が統合失調症を併発してしまうんです。
発達障害であるためアスペルガー症候群の人は劣等感や対人ストレスを感じやすくなっています。ストレスへの耐性も低い傾向にあるので、他の精神病を併発しやすいんですね。
統合失調症を併発している人のほとんどは原因が「過剰なストレスだった」と言われています。他には「うつ病」「不安神経症」「強迫性障害」などを併発する恐れがあるんですよ。
このように、アスペルガー症候群は統合失調症だけでなく他にもさまざまな病気を併発させる可能が高いんです。
統合失調症とアスペルガー症候群の具体的な症状とは?
統合失調症とアスペルガー症候群の違いをより理解するためには症状を知ることも大切です。
だいたいの症状がわかっていれば併発への対処もしやすくなるでしょう。
統合失調症の場合
- 陽性の場合、幻覚や幻聴を引き起こす。その内容は本人にとってつらく不愉快なものである。
- 陽性の場合、攻撃的になったり妄想を現実のものだと信じ込んでしまう。
- 陰性の場合、感情は平板化し無表情になり意欲も低下していく。
- 陰性の場合、症状が悪化して進行すると引きこもりになっていく。
- 会話がまとまらない、なにを話して良いかわからなくなり、他者とコミュニケーションが取れない。
- 複数の出来事への対応が難しくなり、1つずつしか物事を処理できない。
- 疲れやすくなってしまうため社会復帰をしてもフルタイムで働くのは難しい。
アスペルガー症候群の場合
- いきなりなにかしらの記憶を思い出す。これが幻覚や幻聴、妄想と勘違いされる。
- 自分にとって興味のあることしか会話が続かないためコミュニケーションが取りづらい。
- 想像力や洞察力が欠け、他の人の感情や場の空気を読み取ることができない。
- こだわりが強く、規則正しい生活を好むため柔軟性がないと言われる。
- 関心のあるものが限定的で、興味のあるものには異常なほど執着する。
- 関心のないものにはまったく興味を示さず、差が激しい。
- 感情表現が苦手で無表情になることが多い。
統合失調症とアスペルガー症候群の症状を簡潔にまとめてみました。こうして見ると違いがわかりやすくなりませんか?
統合失調症にあってアスペルガー症候群にないもの、その逆もありますね。併発を心配しているなら統合失調症の症状に気をつけておくようにしましょう。
まとめ
統合失調症とアスペルガー症候群は似ていながらも、まったく違う病気です。ですが併発してしまうと見分けるのが難しくなってしまいますから要注意ですね。
補足として、アスペルガー症候群は男性に多いと言われています。患者全体の割合を見てみると、なんと4分の3が男性なんですよ。
統合失調症は治療できますし、アスペルガー症候群にもきちんと対処法があります。良い薬も開発され、病気についての新しいこともどんどんわかってきていますから、落ち着いた予後を過ごすため治療に専念していきましょう。