自律神経失調症とパニック障害の違い、わかりますか?似ているところ・違うところなどわかりやすく解説します。
気になる併発の可能性についてもまとめました。病院に行く前に医師の説明がよくわかるように読んでおくと便利ですよ。
自律神経失調症とパニック障害は似ている?
確かに、自律神経失調症とパニック障害の症状では似ているものがたくさんあります。
自律神経失調症の症状で
- めまい
- 動悸
- 息苦しさ
- ほてり
- 発汗
- 吐き気
などがありますが、これらはパニック障害の発作でも共通して起きやすい症状なのです。
では、パニック障害どのような病気なのかについて簡単に説明します。
パニック障害というのは、先ほど挙げたような症状や「このまま死んでしまうのではないか」とか「頭がおかしくなってしまうのではないか」というような強い恐怖や現実感を感じられないなどの精神症状が突然前触れもなく起こります。
症状は急激に始まり、数分から数十分の間におさまるので病院に行ったときにはなんともないということも少なくありません。発作は繰り返され、毎日起こる場合や時々起こる場合もありますが、きっかけがある場合もない場合もあります。
それによって「予期不安」といって「また具合が悪くなったらどうしよう」という気分になることも特徴です。
それにともなって、「発作が起こった時に誰も助けてくれられない」または「恥ずかしい思いをする」というような場所を避けるようになる人もいます。つまり、一人で出かけたり、電車に乗ったり、映画を観たりなどが難しくなるということです。
自律神経失調症と似通った部分もあり、「自分はどっちなんだろう?」と思った方もいるかもしれませんね。では、次に違いについてみていきます。
違いはどこにあるの?
さきほど出てきた「予期不安」という言葉を覚えていますか?「また発作になったらどうしよう」という気持ちのことでしたね。これがまず第一にパニック障害と自律神経失調症の違いになります。
自律神経失調症でもパニック発作に近い症状を自覚している患者さんも多いのですが、「予期不安」を感じることはパニック障害の特徴です。
そして予期不安のために「広場恐怖」という状態になってしまうこともあります。これはパニック障害の患者さん全員に共通していることではありませんが、悩んでいる人も多い症状です。
これは、発作が起きる不安のために「誰も助けてくれない場所」とか「人の多いところ」、「簡単に抜けられないシチュエーション」などを恐怖に感じたり避けてしまう状態です。
人込み、駅と駅の間隔が広い特急や新幹線、飛行機などの乗り物や美容院や歯医者さん、映画館など苦手に感じるものは人それぞれです。以前に発作になった場所を避けてしまうという状態もよくみられます。
このあたりが自律神経失調症とパニック障害の一番大きな違いといえますね。
併発する可能性はある?
パニック障害の決定的な原因も自律神経失調症の決定的な原因も実はまだわかっていないことがとても多いです。
しかし、現実には併発している人も多く、ストレスとの関係も指摘されています。パニック障害の原因として考えられている仮説に、「ノルアドレナリン」や「セロトニン」の問題があります。
昔は、ストレスやトラウマなどが引き金となっていると考えられていましたが、最近では脳内物質などの身体的な問題であるという考え方がメインになってきています。
ノルアドレナリンは危険を感じた時に働く神経を作動させる働きがありますが、ノルアドレナリンが過剰分泌されていたりなどのトラブルでパニック障害を引き起こすという考え方です。
つまり、不安でもないはずなのに体が勝手に「危険だ!」という信号を出してしまい、恐怖を感じた時のように「ドキドキしたり」、「汗が出てきたり」という症状になるということですね。
そして、セロトニンはノルアドレナリンが過剰に働きすぎないようにブレーキをかけてくれているのですが、これの分泌が少なかったり、うまく作用しなかったりなどのトラブルも関係しているという仮説もあります。
そして、自律神経失調症は交感神経と副交感神経が適切なタイミングで働いていない状態でしたね。それぞれは別の要因で起こっていると推察されているので、併発することは十分あり得るということになります。
まとめ
パニック障害と自律神経失調症は別な要因で起こると考えられています。しかし、併発するということは十分にありえます。症状を医師に詳しく相談することで併発している可能性についても考えてもらえるでしょう。
パニック障害は精神科の専門分野ですので、そちらが心配な場合には精神科への相談もおすすめですよ。