悩んでいる人のかなり多い、自律神経失調症からくる下痢や吐き気。
長引く不調・身体的な異常なしとの診察に「本当に治るの?」と不安になるときもありますね。
今回は、そんな辛い下痢や吐き気の治し方と予防法について考えていきます。
楽しい毎日を取り戻すためにも下痢と吐き気をコントロールしていきましょう。
自律神経失調症ではよくある下痢と吐き気
自律神経失調症で下痢や吐き気など消化器の症状を訴える人はかなり多いものです。むしろ、胃腸の不調や気分の悪さなどが病院を受診するきっかけになるということもよくあります。
それほど、自律神経と下痢や吐き気は切っても切り離せない関係ということなのですね。
さて、下痢や吐き気で病院を受診するとまずは消化器そのものに問題がないか調べることになります。しかし、自律神経失調症では臓器そのものに異常があって体の調子が悪くなっているというのとは違います。
そのため、血液検査をしたり、超音波検査をしたり、腹部CTを撮ったりしてもはっきりとした異常が見つからないのです。異常が見つからないのはある意味喜ばしいことかもしれませんが、患者さんとしては早く原因を知りたいものですね。
このようにはっきりした異常がどこにも見つからない時、「自律神経失調症が原因で下痢や吐き気が起きている」と言われる場合があります。
参考:自律神経失調症が夕方からひどくなる…微熱もあるけど原因は何?
では、どうして自律神経が乱れることで下痢や吐き気が起きてくるのでしょうか。
下痢や吐き気というと消化器が関係しているとまずイメージするかもしれません。自律神経は体の無意識に活動している消化や循環などさまざまな働きをコントロールしている神経です。その働きが乱れることで消化器に不調が出てくるというのが下痢や吐き気を起こしているのです。
まず、下痢について考えましょう。下痢と言っても、常にお腹が緩い傾向にあるのか、それとも便秘と下痢を繰り返すのかで理由が違ってきます。
下痢が続く場合には、副交感神経が働きすぎている場合があります。反対に便秘がちで時々下痢になるような場合には、交感神経が働きすぎている可能性があります。
よく自律神経失調症では交感神経の働きすぎが原因となっているともいわれます。ストレスによって交感神経が働きすぎて、体全体が緊張状態になってしまうということです。
でも、副交感神経の働きすぎで下痢になるといわれると何か矛盾を感じられるかもしれません。人間の体には、自分で調子を整えようとする機能が備わっています。それが交感神経がずっと働きすぎている状態を危険と判断して、反動で副交感神経のスイッチを入れるようなイメージです。
そのため、便秘が続いていたかと思ったら下痢になったり、下痢が続く時期が来たりするというわけなのですね。
また、吐き気も色々な理由が考えられますが、自律神経の乱れによって嘔吐中枢も一緒に調子が乱れてしまっているというのがよくある原因です。また、交感神経が活発になりすぎることで胃腸が上手く働かないことが吐き気の原因になっていることもあります。
下痢も吐き気も日常生活に大きな影響を与えるとても辛い症状、しかも自律神経失調症の場合長期間に渡ってこれらの症状に悩んでいる人も少なくないのです。
治るの?と不安になることも
自律神経失調症で下痢や吐き気が起こっている場合には、困ったことに内臓の不調を治したら根本的に治るという種類の不調ではありません。
まず、病気が隠れていないかきっちり検査して大きな病気が見つからなかったことは嬉しいことかもしれませんが、反面どうやって治したらいいのか全くわからないという状態がとても辛い、ということもありますね。
そして、自律神経失調症は長いと何年も症状に悩まされるというケースもあり、「自分の症状は本当に治るの?」と不安になることも。
しかし、不安は余計に自律神経の働きを乱してしまう原因にもなります。すぐに割り切って考えることは難しいかもしれませんが、まずは、
- すぐに命に関わる病気でなくてよかったこと
- 自律神経の働きが整えば、症状が治ること
このふたつを心に留めてみてください。まずは気持ちが楽になり、治療に積極的になれることを一番に考えましょう。
長引く下痢や吐き気が治るかどうか不安になってしまうこともありますが、自律神経そのものの働きをしっかりと調整していけば不快な症状も次第におさまってくるはずです。諦めずに体質を改善していきましょう。
予防法はどうしたらいい?
まず、下痢を予防する方法です。
自律神経失調症からきている下痢は、食べ物に気を付けることなどではあまり改善が期待できません。ただ、下痢が続いている場合には食物繊維の摂りすぎに注意してください。食物繊維を摂りすぎると胃腸がなおさら活発に動き、下痢がひどくなります。
また、ストレスに対処することと疲れをそのままにしないことが大切です。自律神経失調症というかたちで体に症状が出ている場合、意外に自分の心に抱えているストレスの正体が自覚できていない場合もあります。
病院の手助けを借りながら、ストレスの正体をつきとめ、どうやってストレスと向き合っていくのか考えるのが理想です。ストレスと疲れは表裏一体の面もありますので、ストレスの改善をしていくと疲労感もよくなることがあります。なるべく「好きなことしかしない」という時間を短時間でも作ってみるとよいでしょう。
続いて吐き気を予防する方法です。
自律神経失調症の吐き気は消化器に原因がなく、嘔吐中枢の調子が乱れていることが原因になっていることがとても多いのが特徴です。ですから、自律神経そのものの調子を整えることが第一になります。
自律神経が乱れる原因がストレスにあるならストレスの改善を、不規則な生活にあるならそれを改めるなど、気長な方法になってしまいますが、意外とそれらが近道になります。
どちらの不調も根本にある自律神経の働きを整えることが何よりも重要なのです。
まとめ
自律神経失調症では、よく下痢と吐き気に悩まされることがあります。
それらの症状が長い期間続くこともあり、「本当に治るの?」と不安になってしまうこともあるでしょう。
しかし、自律神経そのものの調子を整えれば改善していくことができます。
下痢が続くときは、食物繊維や刺激物を控えめにしたりなどの調整をしながら、ストレスの改善と生活リズムの改善を中心に自立神経を整えていきましょう。